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(やはり私は独りなのかな?
私はアイツに何を望んでいたのだろう?
何を…といえば、私は何でこんな事をしているんだろうな。)
少し頭の中を冷静にして自分を見つめ直してみた矢先だった。
下から負の気配が広がっているのに気付いた。
(ナニコレ…)
鈍器で頭を横殴りにされた様な鈍い痛みに耐えながら、次々と入り込んでくる複雑に絡み合った思念を押し退ける。
「階下から…まさか!?」
そう言ったと同時に叫び声が聞こえた。
不安が的中し、ドンッと足を踏み出し階下へ向けて歩を速める。
勢いよくバタンッとドアを開けて滑る様に階段を下りる。
不思議と体が動いていた。
先程までの迷いはなく、今は早く誠治のとこへ行かなきゃ!その想いがこの体を突き動かす。
「ーーーーーっ!」
声にならない断末魔の咆哮、苦痛に歪むその表情は普通に怒ったり苦しんだりでは表せないぐらいに酷く、その体その手足は世話しなくあちこちに動かしている。
見るまでもない、火を見るより明らかに。
自分を見失って荒れ狂うその姿からは未だ明確な意思は聴こえない。
空腹と負の感情に押される体に活を入れ、目を覚まさせようと詰め寄る。
ブンッと風切り音が聞こえたかとその刹那に二の腕を強打され、その勢いがあまりにも強く、体を吹き飛ばされた。
「つぅっ。」
腰をしたたかに打ち付けたが気にしていられない。
再度詰め寄り、体裁きを駆使して迫り来る腕をかいくぐる。
懐に入り込み、自らの腕を鞭の様にしならせて閉じていた手を大きく開く。
「目を…覚ませーっ!」
至近距離で体を大きく傾かせてその手を振り抜く。
次いで、肩からの体当たりで勢いに任せて誠治の体を倒す。
「お願い、コイツを縛り付けておいて!」
叶の中から飛び出していた犬神に暴れだす誠治を任せる。
やっと少し落ち着けるが、まだ油断は出来ないと感覚的に判断できた。
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