委員長と優しい不良少年

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三年C組。 「おはよう。」と挨拶をかわすクラスメートの間をすり抜けて、私は自分の席へと向かう。三年生へと進級し、クラス替えがあったばかりの教室では、友達作りがせっせと行われている。 「おはよう、美緒。」 隣の席にいた加賀美ゆかり(カガミユカリ)がにこやかに挨拶をする。綺麗な栗色の髪が真っ白なゆかりの素肌に映えている。 「ゆかり、おはよう。」 一年生の時から私たちはクラスが同じで、今では親友のように仲が良い。週末はしょっちゅうお互いの家を行き来している。 「今日も委員会?」 ゆかりが寂しそうに尋ねる。 「うん、放課後ね。ごめん、先に帰って?」 「分かった。」 私は一年生の時から、この容姿のせいでクラスの委員長をやっていた。真っ黒な髪を二つ結びにして制服もばっちり着ていたら、がり勉ちゃんにしか見えないらしい。見た目にこだわりがあまりない私は周りのクラスメートのような恰好になりたいとは思わない。…私は私なんだから。 タイミングよくチャイムが鳴り響き、担任の神楽先生が教室のドアを開く。 私は先生が教壇についたと同時に号令をかけた。
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