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「おはよう、みんな。ホームルームはじめるぞ。」
数名のクラスメートがけだるそうな返事を返す。私はとくに口を開くことなく先生の話に耳を傾ける。
ガラララッ
神楽先生の話を中断せざる終えないような音が教室に響く。
「またお前か、安西。」
安西保(アンザイタモツ)君。このクラスで一番目立つ真っ赤な髪の男の子。前髪は長めに、襟足は短めに、綺麗にセットされている。ルックスもよく、女の子からモテモテらしい。
そんな彼が、ドアのところに眠そうな顔で立っていた。中身が入ってなさそうな鞄をカラカラと鳴らしながら、自分の席へと進む。
「悪い、先生。朝弱くて。」
「努力をしろ、努力を。まったく…」
安西君を軽く叱りながら出席票に記入をする神楽先生。見るからに不良な安西君には、先生たちもあまり強くは言えないのだ。
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