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私は今走っている。
私を追ってくる"何か"に追い付かれないように必死に…
"何か"に追い付かれてしまえば、そこで私の人生は終わるだろうと本能がそう私に知らせていた。
「きゃぅッ!」
遂に疲れから足が縺れ派手に転んでしまう。
そして、追い付かれてしまった…
当然その"何か"は私が起き上がり体制を整えるまでなど待ってはくれず、私に向かって飛び掛かる様にして襲い掛かり逃げられないようにのし掛かる。
"何か"が私の喉笛へと噛み付こうとする数瞬の間、コマ送りになったかの如く全てが遅く感じられ俗にいう走馬灯でも流れるのだろうかと暢気にも思ったが流れはしない。
そして、私の意識は闇に落ちた。
真紅の双眸を闇に輝かせ、その闇に同化するような毛並をした獣の様な"何か"が氷の槍の様なもので壁に縫い付けられる光景を見たのを最後に…
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