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突然の総司の出現に慌てふためく二人。
そして、お楽を諦めさせるのを優先したい斎藤と、総司の誤解を解くのが優先のハルが
「すまん、沖田!」
「違うの、総司!」
と同時に声を発すると、腕を組んで二人を訝しげに見る総司の横にお楽が、すっと立った。
二対二で分かれ、そこに流れるのはしばし沈黙。
「あのね、総司」
ハルが沈黙を破り口を開くと、斎藤が
「ハル!」
とハルの腕を掴み引き寄せると、耳に口を寄せ
『副長の湯のみ割った事、ばらされたいか・・・』
と小さな声で囁くと、ハルの体がびくりと動き
『な・・・なんで斎藤さんが知ってるのよ!』
と小さい声で言い返す。しばし考え込んでいたハルが
「斎藤さんごめん。でも総司に誤解」
と誤解をされたくない旨を伝えている途中に
「お楽さんとおっしゃいましたっけ?良かったら私と茶屋へ行きませんか?ハルを誘うつもりだったんですけど・・・」
と総司が横目でハルを見ながら言うと
「どうやらお邪魔のようですしね」
と言うと呆然とするハルをよそにお楽に笑いかけた。お楽も驚き目を丸くして総司を見つめていたが
「そう・・・ですね。何だかお邪魔のようですし。除け者同士、甘味のやけ食いでもしましょうか?あ、私行ってみたいお店があるんです。一緒に参りましょう」
とお楽が美しい顔に笑みを浮かべて言うと
「わぁ!本当ですか。参りましょう参りましょう!あぁ、こーんな綺麗な人と美味しーい甘味を食せるなんて、幸せだなぁ」
と総司がハルに、ふふんっと笑って見せた。
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