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彼は幼い頃よく女の子に間違われるくらい愛らしい容姿で近所では人気だった。
彼を育てた者はそれに気をよくしたのか、よく彼に姉のお下がりを着せて出掛けていた事が記憶の片隅に残っている。
もしこの時点で彼の脳に理性があり、好んで着ていると言うのならば、そっちの道に進んでいたという可能性は否定出来ない。
なすがままに育てられ、毎日「可愛い」を頭の上から浴びせられる。
学校では異様に人気があり、彼の毒の効き目を更に促進させていた。
そんな日々が小学三年生あたりまで続いた。
気付いた時にはすでに遅し。
それまでに浴びせられた愛は洗い流す事など出来ず、しっかりと体中の毛穴から染み込んで、体の内側から彼は染まっていったのだ。
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