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「ハァッ…! ハァッ…! ハァッ…!」
なぜだ…
なぜ、こんなことになってしまったんだ……!
たまたま路頭でぶつかったガキが、どっかのヤクザの総長の孫の友達の弟らしく、気付いたら周りには黒い服を着た、危なそーな人で溢れてて、目の前には尻餅をついてるガキがいて……
そんでもってなぜか、俺は全力全身で目の前のロードを走り抜けてるー!!!
「待ちやがれー!!!」
だーれが待つもんかい!
なんて、心の中だけで威勢を張る。
だが、後ろから十数人はいると思われる量の足音が、俺の耳に必要ないほど響いてきやがる。
恐らく、片手には木刀か何かを握っているのだろうが……
怖くて振り返れやしねぇ!
も、もうあかん……
ごめん、母さん…父さん……
俺、浪人のまま死ぬみたいだ……
今まで本当にお世話になりました。
「こっちこっち!」
死を覚悟した俺の視界に、どこからか姿を現し、手招きをする少女の姿が映る。
ええい! なるがままよ!
俺は最期の力を振り絞り、少女の元へと駆け寄った。
「ふぅ…危ないところだったねぇ~…」
………ぇ?
ここじゃまだ、丸見えですぐバレるんですけど……
「ちょ……! 見つかるって……!」
そんな俺の焦りも、まったく気にしない様子の少女は
「大丈夫、大丈夫」
と、頼りない返答をしてきた。
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