最初のサプライズ出来事

2/9
前へ
/188ページ
次へ
「ハァッ…! ハァッ…! ハァッ…!」 なぜだ… なぜ、こんなことになってしまったんだ……! たまたま路頭でぶつかったガキが、どっかのヤクザの総長の孫の友達の弟らしく、気付いたら周りには黒い服を着た、危なそーな人で溢れてて、目の前には尻餅をついてるガキがいて…… そんでもってなぜか、俺は全力全身で目の前のロードを走り抜けてるー!!! 「待ちやがれー!!!」 だーれが待つもんかい! なんて、心の中だけで威勢を張る。 だが、後ろから十数人はいると思われる量の足音が、俺の耳に必要ないほど響いてきやがる。 恐らく、片手には木刀か何かを握っているのだろうが…… 怖くて振り返れやしねぇ! も、もうあかん…… ごめん、母さん…父さん…… 俺、浪人のまま死ぬみたいだ…… 今まで本当にお世話になりました。 「こっちこっち!」 死を覚悟した俺の視界に、どこからか姿を現し、手招きをする少女の姿が映る。 ええい! なるがままよ! 俺は最期の力を振り絞り、少女の元へと駆け寄った。 「ふぅ…危ないところだったねぇ~…」 ………ぇ? ここじゃまだ、丸見えですぐバレるんですけど…… 「ちょ……! 見つかるって……!」 そんな俺の焦りも、まったく気にしない様子の少女は 「大丈夫、大丈夫」 と、頼りない返答をしてきた。  
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加