最初のサプライズ出来事

3/9
前へ
/188ページ
次へ
「どこ行きやがったー!!!」 ひぃっ! 追い付いてきた! 俺は咄嗟に、その場を走り去ろうとしたのだが…… ガシッ なぜか瞬時に、少女に腕を掴まれた。 ま、まさかグルだったとか……? 「動かないで……大丈夫だから……」 先程とは打って変わって、真剣な表情で囁く少女。 い、一体何だってんだ…… 立ち尽くす俺と少女の前を、まるで気付く様子もなく、黒服達は駆け抜けていった。 少しして、あっという間に辺りはしーんと静寂に包まれていた。 た、助かったのか……? 少女は「ふぅっ」と息をもらすと、ようやく俺の腕を解放してくれた。 「もう大丈夫だね、次からは気をつけるんだよ?」 「あ…あぁ…さんきゅ…」 訳が分からないまま、とりあえず礼だけ告げておくと、少女は満足げな笑みを残して、そのまま路地裏へと消えていった。 そして、黒服も少女もいなくなった路地にて、一人立ち尽くしたままの俺。 一向に理解速度が追い付かない俺は、動くことも言葉を発することも出来ず、本当に文字通り、その場に固まっていた。 結局、状況理解を終えるよりも先に導き出された俺の答えは…… ………帰ろ。 そういうことだった。  
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加