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「どこ行きやがったー!!!」
ひぃっ! 追い付いてきた!
俺は咄嗟に、その場を走り去ろうとしたのだが……
ガシッ
なぜか瞬時に、少女に腕を掴まれた。
ま、まさかグルだったとか……?
「動かないで……大丈夫だから……」
先程とは打って変わって、真剣な表情で囁く少女。
い、一体何だってんだ……
立ち尽くす俺と少女の前を、まるで気付く様子もなく、黒服達は駆け抜けていった。
少しして、あっという間に辺りはしーんと静寂に包まれていた。
た、助かったのか……?
少女は「ふぅっ」と息をもらすと、ようやく俺の腕を解放してくれた。
「もう大丈夫だね、次からは気をつけるんだよ?」
「あ…あぁ…さんきゅ…」
訳が分からないまま、とりあえず礼だけ告げておくと、少女は満足げな笑みを残して、そのまま路地裏へと消えていった。
そして、黒服も少女もいなくなった路地にて、一人立ち尽くしたままの俺。
一向に理解速度が追い付かない俺は、動くことも言葉を発することも出来ず、本当に文字通り、その場に固まっていた。
結局、状況理解を終えるよりも先に導き出された俺の答えは……
………帰ろ。
そういうことだった。
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