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そもそも、普段は超がつくほどインドアな俺が、たまたまの気まぐれか何かで、太陽の日差しを浴びてみたいなどと思ってしまったことが、すべてもの原因だ。
たまに外に出てみたらこの騒ぎ。
つまり、神様か誰かが、俺という人間は一生殻にでも閉じこもっていろ、とでも伝えたかったのだろう。
チクショウめが。
ならば要求通り、家に帰りますよ、まったく。
そう思いながら、帰路を辿る俺の背中は、何て寂しげなのだろうか……
まさに、とぼとぼ帰るとは、このことを指すのだろう。
気付けば日も暮れていて、最寄りのスーパーに着いた頃には、明るかったこの街も、暗闇にどっぷりと浸かっていた。
別にこれといって買いたいものもなく、スーパーを軽く通り過ぎて自宅へと向かう。
それから程なくして現れてくる、大してでかくもない、ごくごく普通のマンション。
高校を卒業した俺は、進学にあっけなく敗退し、ここで一人暮らしをしながら、浪人生として日々を頑張っている。
親は親で、「受かるまで受けなさい」の一点張り。
なので、しばらくはお世話になるだろう、このマンションなのだが……
住人は根暗な奴やら、あっち系の奴やらで、よくある隣室には美少女が……なんてのは、夢のまた夢の話だった。
まぁこんなボロッちいとこに住む美少女なんて、かえって不気味な気もするから、別にいいんだけどね…
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