一章【平穏な朝】

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「よし、張り切って狩っていくか!」 そう言ってアルクは腰に携えた鞘から勢いよく剣を引き抜いた。研ぎ澄まされた銀色の刃は蒼白く怪しい光を放ち周囲の空間を照らしている。 それは彼が長年携えている愛用の武器であり、アルクはカティアと出会うよりも以前から、この剣と共に旅をして多くの窮地をくぐり抜けてきたのだった 「俺は向こうに行くからさ。カティアはルキノさんと一緒に行動しててくれ」 「うん、気をつけてね」 カティアは素直に頷き、そう返事をする。 「集合の時間になったら、わたしの魔術で空に信号弾を打ち上げるから森の入り口まで戻ってきて。それと、あまり遠くの方まで行き過ぎないようにね」 掌に紅い光を浮かべながらルキノがアルクにそう確認すると 「ああ、わかった。それじゃカティアまた後でな」 そう言い残してアルクは森の茂みの向こう側へと颯爽と駆けていった。 「なんだか今日のアルクは張り切ってるなぁ。無茶して怪我でもしなければいいんだけど」 「……そうですね」 長い月日をアルクと一緒に過ごしてきたカティアは彼の強さを十分に知ってはいるが、少し心配そうな表情を浮かべる。 「さてと、わたしたちも魔物を探しに行こっか」 ルキノはそんなカティアの心情を察してか、あえて明るい口調でそう言うと森の中へゆっくりと歩き始める。 カティアは無言で頷き、アルクが駆け去って行った方向をしばし見つめる。 この場所には以前にも何度か三人で狩りに来たことがあり、森の中にそれほど危険な魔物はいなかったはずだ。それにアルク程の実力があれば一人でも何も問題はないだろう。 カティアは不安な気持ちを振り払い、ルキノの後を追って歩き出した。
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