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アルクはエレメントを腰元にくくり付けた皮袋へとしまうと、他に魔物がいないか周囲を見渡す。
先程の戦闘で舞い上がった枯れ葉が何枚かヒラヒラと空中を漂っていたが、他に動く者の気配はなかった。
付近に他の魔物がいないことを確認すると、彼は警戒を解いて剣を鞘へと収め肩の力を抜く。
「これじゃ、まだまだノルマには遠いな」
この場所に来る途中で何体か小型の魔物を倒しエレメントを回収していたが、いずれも下級の魔物であり、それほどエネルギー量は期待できない。
アルクは少し考えた後、もっと強力な魔物を探すため更に森の奥へと向かうことを決めた。
木々の隙間から木漏れ日が差し込み、しんと静まり返った森の中をパキパキと地面の小枝を踏みしめながらアルクは慎重に進んでいく。
「カティアたちは大丈夫かな……」
アルクはふと森の東の空を見上げて何気なく呟きを洩らす。だが、その言葉と裏腹に、彼の表情にはそれほど心配しているような様子は見られなかった。
ルキノが一緒であるということもあるが、カティアが常人離れした「特別な力」を持っていることが最大の理由だった。
カティアは一見すると、とても魔物と戦う術などは持っていないように思えるが、実は彼女には魔物の能力を引き出し自在に操るという『異形の力』があった。
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