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「――っ!」
少女はハッと目を覚まし慌ててベッドから体を起こした。
そして周囲を見回し自分が置かれている状況を把握すると、ゆっくりと息を吐き胸を撫で下ろす。
彼女が今いる場所は数日ほど前から世話になっている宿屋の一室だった。
窓からは暖かな朝日が差し込み、外からは小鳥のさえずる声が聞こえてくる━━まさに平和そのものの光景であった。
少女は額の冷や汗を拭い、心を落ち着かせようと静かに目を閉じゆっくりと深呼吸する。
肩まで伸びる柔らかなブロンドの髪と澄んだ緑色の瞳に、まだ若干のあどけなさが残る整った顔立ち。すらりとした華奢な体に纏った衣服からは透き通るような白い肌を覗かせている。
少女の名はカティア。
七年前、大陸各地で人々を襲った魔物たちの暴走により壊滅させられた小さな村で、奇跡的に発見された唯一の生存者だ。
(また嫌な夢、見ちゃったな……)
カティアは俯き、そう心の中で呟く。なぜか最近になって「あの夜」の夢を頻繁に見るようになっていた。
たった一夜で、愛する両親との平穏な暮らしを奪われたという事実━━それはまさに悪夢となって彼女の夢に現れるのだ。
「はぁ……」
カティアは頻繁に見る悪夢のせいか少し疲れたようにため息をつく。実際のところ、満足な睡眠はとれていないのだろう。
彼女の目の下にうっすらと浮かぶ隈がそれを物語っていた。
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