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「しっかりしなきゃ……今日のお仕事も頑張らないと」
夢の中のことをいつまでも考えていても仕方ない……カティアはそう自分に言い聞かせ、服を着替えようと上着のボタンを外し脱ぎ始める。
━━が、その直後に廊下から騒がしい足音が聞こえてきたかと思うと部屋の扉が勢いよく開き、カティアと同い年くらいの銀色の髪の少年が部屋に入ってきた。
「カティアー起きてるか? 朝飯にしよう━━」
ノックもせずに扉を開いた本人は、まさに着替えの最中であったカティアのあられもない姿に思わず言葉を失った。
「……?」
カティアも咄嗟の出来事に着替えの手を止めて目を丸くしている。普段なら着替えをする前に閉めておく部屋の扉の鍵を、この日はうっかり閉め忘れていたようだ。
想定していなかった光景に、少年はまるで石にでもなったかのように固まっていたが、ふと我に返ると慌てて彼女の身体から視線を逸らした。
「ご、ごめん! そんなつもりじゃなかったんだ!」
そう言って彼はあたふたと弁明しようとする。
「あっ……」
あまりにも唐突であったため、しばし呆然としていたカティアは自らの無防備な格好に気が付くと、白い肌が露になっていた胸元を慌てて服で隠した。
控え目な性格である彼女は特に何も言わなかったが、頬をかすかに赤く染めて困ったような上目遣いで少年を見つめる。
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