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そんなカティアの仕草に少年はあからさまに動揺する。
「じ、じゃ俺たちは先に食堂に行って待ってるからさ、支度が済んだら━━」
少年がそう言いながらそそくさと部屋を出ようとした矢先、部屋の扉が勢いよく開いた。
「んがっ!?」
見事に扉が顔面に直撃し、思わぬ不意打ちを食らった少年は呻き声と共に床に転がる。
「カティアー起きてる?」
そんな言葉と共に部屋に入って来たのは長い赤髪の女性だった。
「今日も仕事の依頼が入ってるからね、早く━━」
そこまで言いかけ、その女性は部屋の中の光景に気が付くと目を丸くした。
恥ずかしそうに胸元を服で隠したままのカティアから、床に膝をついて鼻を押さえている少年へと視線を移す。
そして彼女は全てを察したかのように手を打つと、悪戯な笑みを浮かべた。
「あら、お邪魔だったかしら? ふふっ、それじゃ二人ともごゆっくり~」
女性は楽しげに笑いながらそう言い残すと、身を翻し部屋から出て扉を閉めた。
「ちょ、何の話だよ!? 俺もすぐ部屋から出るって!」
少年も慌てて立ち上がり、鼻をさすりながら女性の後を追って部屋から出ると
「じゃカティア、下で待ってるからな!」
そう言い残して扉を閉める。
「……」
後に残されたカティアはしばし呆然として目を瞬いた。
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