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その後、着替えを終え身仕度を整えたカティアは食堂にもなっている宿屋の一階へと降りていった。
彼女は木のボタンがついた半袖の白いブラウスに、柔らかい生地でできた丈が膝の上程度の茶色いスカートという服装で、淡い桃色のスカーフを肩に羽織るようにして巻いており、銀色の蝶蝶のような形をした装飾が付いた留め具で結んでいる。
蝶を模した留め具はカティアが幼い頃に両親から贈られた物で、彼女は今でもそれをとても大切にしていた。
カティアが食堂にやって来るとカウンター近くのテーブルに先程のニ人が座っているのが見える。
「お、来たか」
少年がカティアに気付き笑顔で手招きすると彼女は控え目に微笑み、彼らが居るテーブルの空いてる席に静かに座った。
「いやーさっきは驚いたねー」
パンに苺のジャムを塗りながら女性がおもむろに口を開く。
「てっきりアルクがカティアを襲ってるのかと思っちゃったよ」
「そんな訳あるか!」
アルクと呼ばれた少年はすぐさま全力で否定する。
「でもさー、朝っぱらから遠慮もなく女の子の部屋を開けるのはどうかと思うよ?」
「うぐっ……こ、今度からは気を付けるよ……」
カティアはそんな二人のやりとりに少し困ったように微笑みながら、向かいに座る少年を静かに見つめる。
銀色の少し長めの髪をうなじより僅かに上の位置で括り、青く澄んだ瞳が隠れないように前髪を無造作に掻き分けている。整った容姿だが忙しなく変化する表情は年齢相応の少年らしさを残していた。
彼は襟がV字に開いた半袖の白いシャツの上に黒いジャケット、そしてジャケットと同色の黒のズボンという格好をしており、ジャケットは袖を大きく捲り二の腕を露出させている。
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