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「はい! 大丈夫です! 怪我してないので!」
豪快に転んだ女の子は、ガバッと起き上がり大きな声でそう答えた。
涙目なのは触れないでおこう。
高菜「いや、泣きそうじゃん」
悟の優しさは、高菜の口によって速攻木っ端微塵にされた。
「そ、そんな……泣きそうになんか……グスン……なってませんよ!」
女の子は鼻を啜りながらも、心配させまいと笑いながら言った。
柚子「が、頑張ってるよ! あんたは頑張ってるよぉ!」
柚子は女の子に抱き付き、頭をグシャグシャに撫で繰り回した。
女の子の行動が柚子の母性本能をくすぐったらしい。
「お前は典型的なドジッ子だからなぁ……」
眼鏡の男がまたも溜め息混じりに呟いた。
眞樹「あれ? 稔(ミノル)? 稔だよねぇ?」
眞樹が眼鏡の男に向かってそう問いただした。
稔「あれ? 眞樹さんじゃないですか。同じ高校とは奇遇ですね」
眞樹「だね。もっと上の高校行くと思ってたよ」
悟「なんだ、眞樹。知ってるのか?」
眞樹「うん。この子は、親戚の竹下 稔(タケシタ ミノル)君。凄く頭良いんだよ!」
稔「いえいえ、そんな……」
稔は手を横にブンブンと振り、頭が良い事を否定した。
悟(謙虚そうで良い子だ……)
悟はまともな人がいて、ホッとした。
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