第1話 後輩

6/14
前へ
/34ページ
次へ
「はい! 大丈夫です! 怪我してないので!」 豪快に転んだ女の子は、ガバッと起き上がり大きな声でそう答えた。 涙目なのは触れないでおこう。 高菜「いや、泣きそうじゃん」 悟の優しさは、高菜の口によって速攻木っ端微塵にされた。 「そ、そんな……泣きそうになんか……グスン……なってませんよ!」 女の子は鼻を啜りながらも、心配させまいと笑いながら言った。 柚子「が、頑張ってるよ! あんたは頑張ってるよぉ!」 柚子は女の子に抱き付き、頭をグシャグシャに撫で繰り回した。 女の子の行動が柚子の母性本能をくすぐったらしい。 「お前は典型的なドジッ子だからなぁ……」 眼鏡の男がまたも溜め息混じりに呟いた。 眞樹「あれ? 稔(ミノル)? 稔だよねぇ?」 眞樹が眼鏡の男に向かってそう問いただした。 稔「あれ? 眞樹さんじゃないですか。同じ高校とは奇遇ですね」 眞樹「だね。もっと上の高校行くと思ってたよ」 悟「なんだ、眞樹。知ってるのか?」 眞樹「うん。この子は、親戚の竹下 稔(タケシタ ミノル)君。凄く頭良いんだよ!」 稔「いえいえ、そんな……」 稔は手を横にブンブンと振り、頭が良い事を否定した。 悟(謙虚そうで良い子だ……) 悟はまともな人がいて、ホッとした。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加