鉄を操る者

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「一体何事さ?」 「さぁ……赤鬼さんが来るというのも珍しいですけど」 用件はわからずペットに来客だと知らされただけなので、どうして赤鬼が訪ねて来たのかもわからない。 来た道を帰るように大広間へ入ると、椅子には赤鬼と燐が対するように座っていた。 二人に気付いた燐はお茶を淹れてきますね、と席を立つ。 「赤鬼、どうしたんだ?」 「おぉ、蓮。さとり殿も突然に申し訳ねぇ」 入ってきた二人に頭を軽く下げ、対面に座るのを待ってから本題に入った。 「それで用件は……どうやら、蓮さんについてのようですね」 「………さすが、さとり殿に隠し事は出来ねぇや」 赤鬼の返答には少しの間があった。 蓮にはそれだけで、さとりが畏怖の対象であるということがわかってしまう。 心を読むことができるということは、妖怪でも恐ろしいことだ。畏怖されても仕方のないことなのかもしれない。 それは悲しいことだが、赤鬼に非があるわけではない。本能が恐れてしまっているのだから、仕方ないのだ。 さとりもそれを理解しているからこそ、悲しそうな瞳を反らすだけで何も言わない。 「………蓮さん、今は私のことより……」 覚られた蓮は軽く息を吐いて、赤鬼を見やった。 「どうしたのさ?」 「いや、その……な」 物凄く言うことを躊躇う赤鬼に、蓮は首を傾げる。 それを見てさとりは軽く息をつく。丁度戻ってきた燐から紅茶を受け取り一飲みし、蓮へと目を向ける。 「蓮さん。恨みを買うようなこと、しましたか?」 さとりの質問に、蓮は意味がわからないという顔を向ける。声に出さずとも覚らずとも心情を理解したさとりと赤鬼は、ふぅと息を吐いた。 「な、なんだよ……」 「蓮さんって、無自覚の女誑しだと思うんですよ」 何を言っているんだ、と蓮が発言する前に、赤鬼は頷く。 「確かに……容姿も性格も良いからなぁ」 「こいし達も気に入って……そりゃあ良い人ですしもしもはないというのもわかっていますけど、もう少し私とお話してくれたって……」 「……話しが見えないんだけど」 立腹したように目を細める蓮に、赤鬼は観念したように両手を軽く上げる。 さとりも何とも言えないような表情で、紅茶を一飲みした。 「わかったわかった。まぁ、あれだ……お前に恨みを持つ者がいてな」 「妬ましい、だそうですよ」 「……………はぁ?」
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