鉄を操る者

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予想外なことにも動じまいと身構えていた蓮ではあったが、さすがの予想外な発言に驚愕を禁じ得なかった。 さとりは当然とだろうとといった様子で紅茶を飲み、ちらりとれを赤鬼を見つめる。 「………どうやらそいつはな、お前に嫉妬しているようなんだ」 お茶を一飲みして赤鬼は言葉を続ける。 「地霊殿の主であるさとり殿や妹のこいし殿、その他にもペットや勇儀姉さんと……絡むのはみーんな美人、そりゃ嫉妬の対象になっても仕方ねーよ」 ちなみに、赤鬼は勇儀一筋なのでどうでもいいとのこと。 理由を聞いた蓮はというと、呆然と口を半開きで目を瞬かせていた。 いや、なんだそれは。確かにみんな可愛いし美少女だなとは思うけど俺から進んで接触したわけじゃないしそんなこと言われてもどうしようもないというかなんだその理不尽な理由は納得出来ないんですけど。 覚ってみればそんな言葉ばかりが流れる彼の思考に、若干照れながらもさとりは燐にお菓子を持ってくるように命じる。 「で、その妬ましいさんはどちらに?」 燐を見届けてさとりが尋ねると、赤鬼は即座に答えた。 「一応狼賀で風鬼が見張ってる……が、蓮を連れてこい連れてこいって煩いんだ」 「………なんというか、理不尽だ」 がっくりと項垂れると、蓮は顔を上げて後頭部をかく。 息を吐いて頭に冷たい空気を送ると、少しではあるが思考がまともになってきた。 「狼賀にいるんだな?」 「え、あ……あぁ」 赤鬼の肯定を認めて、彼は立ち上がった。 話して来ると心で呟くのを覚り、彼女は出ていく蓮の背中を見届けた。 「お燐、蓮さんに着いていってあげて」 「あいあいさー」 可愛らしく敬礼して、燐はさっと蓮の後を追うようにして走って行った。 紅茶を飲もうとして、すでに切らしたことに気付いてカップを置く。 すると、赤鬼が思い出したように尋ねた。 「そういえば、パルスィの様子はどうです?」 「今だに気を失ったままです」 あれ以来彼女が目を覚ますことはなく、以前としてベッドで横になっている。 目覚める気配はなく、今のところ手の施しようがなくどうしようもなかった。 「………蓮には黙っていて欲しいんですけど……」 突然真剣な表情をする赤鬼に、さとりは首を傾げた。 だが、その心を覚った瞬間、彼女の瞳は見開かれ凍りついた。
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