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「…………は?」
聞き間違いか、という意味で聞き返したのだが、兎男は構わず熱弁し始めた。
内容はネチネチとしたものを繰り返すだけだったが、まとめると。
地霊殿には心を読んでしまうそれは恐ろしい恐ろしい妖怪がいるため近寄れず、きっと燐達も脅されて仕方なく従っているに違いない。助けてやりたいがさとり妖怪がいる、だけども。
と、ループを繰り返すということになっているらしい。
「つまりは、貴様もあの悪女と同じ陰湿な化け物ということだ!」
「………その悪女ってのは、さとりのことか?」
冷え冷えとした声が、蓮の口から漏れた。
怒りの限界突破しかかっていた燐が、出鼻を折られて彼を見やる。
熱弁する相手に背を向けてミルクを飲んではいるが、その表情は完璧なまでに無表情であった。
誰がどう見ても、その気配でわかる。
完全に怒っていらっしゃる。見たことないほどに激高しているわけでもなく、ただ淡々としていのだが。
それが、これ以上にないくらい怖い。
「弾幕ごっこがしたいんだって?」
彼の淡々とした言葉の裏に隠れた怒気に気付かない兎男は、威勢良く肯定する。
「いいぜ、相手してやるよ」
ただし、と彼は振り返った。
「俺を、満足させてくれよ?」
「何考えてるの、このバカ!」
地底を無意識のままに漂っていたこいしが、騒ぎを聞き付けやってきて最初にやったことは蓮の頭をひっぱたくことだった。
軽く頭を抑えながら、上着を燐に預けながらこいしの額に指弾をかます。
「仕方ないだろ。震えちまったんだから……」
「だから、満足とか震えるとかわからないっての!」
「俺がハマった漫画のキャラの口癖だ。いつの間にか写っちまった」
「何、その厨二病……」
呆れたような顔をしてくる二人に、蓮はそっと笑いながら額に指を軽く押し当てる。
それだけで二人は何も言えなくなり、彼は立ち上がって軽く身体を解す。
その瞳からは影などなく、負けることをまったく考えてない顔だ。
「お前、弾幕撃てないんだってな?」
屈伸を繰り返す彼に近付き、兎男がそう尋ねる。
蓮が隠すことなく肯定すると、彼は困ったように腕を組んだ。
「どうする。どうやって勝敗を決める」
弾幕ごっこを始める際に、スペルカードの枚数を決める。
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