プロローグを書いてた

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いじめっこたちを見送った後、会長は僕の元へやって来た。 「さて、君の事情も聞かせてくれないかな? 見たところ何もせずいじめられてたわけじゃないんでしょ?」 会長の目は、まるで僕の心の中まで見通しているようだった。しかし、それでいて安心できている自分が、その時は不思議でたまらなかった。 僕はゆっくりと、これまでの経緯を話した。 あれはいつだったか、僕が帰り道を歩いていると、いじめっこの5人が翼を怪我した鳥を面白半分で用水路に落とそうとしていたのを見つけたのだ。止めろと抗議したが5人は聞かず、無理矢理にでも止めようとした時、咄嗟にその内の一人を殴ってしまったのだ。それが事の始まりだった 「馬鹿ですよね。もっとやり方もあっただろうに……手をあげた方が悪いに決まってるのに……」 「……そうだね。馬鹿だね」 ほら、会長だってそう思うだろう。きっと、会長も呆れてる。 僕が顔をあげたとき、思わずたじろんでしまった。会長の顔は、呆れてなどおらず、ただ真っ直ぐに、僕を見つめていた。 「君は自分のしたことに誇りを持ちなよ。君は、良いことをしたんだよ」 僕が、良いこと? 「確かに他人を殴ったのは悪い。反省すべきだ。でも、おかげでその鳥は助かったんでしょ?」 確かに、その鳥は後に家で治療をした2,3日後には飛び立っていった。 「君は命を助けたんだ。そのことに誇りを持ってほしい」 不意に、僕は温かいものに包み込まれた。 「だから、もう自分に嘘つかないで。我慢しなくていい。思いきり泣きな」 ……初めてだった。親からでなく、他人からこんなに優しくされたのは。温かさと優しさで胸が一杯になる。 その時、僕は初めて他人の胸の中で泣いた。すごく情けなかったけど、胸の奥に溜め込んでいた何かが、ゆっくりと無くなっていくのを感じた。
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