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「帰ったのかと思った。」
スミレが不意にそんなことを言い出した。そんなスミレに俺は鼻で笑ってやった。
「前に信じるって話したばかりじゃんかよ。」
「ビックリしたよ。私もスミレちゃん放ってくつもりなのかと思ったよぉ~。」
「俺ってそんなに薄情な奴だっけ?」
「冗談だよ!」
美奈は落ち込みだした俺を指指して爆笑していた。
「何だよ、笑うな。」
「あはは!」
スミレがしばらくして小さな声で俺達に呟いた。
「ありがとね。」
俺と美奈は振り替えって笑顔でスミレに答えた。
「どういたしまして。」
「まして!」
「ぷっ…クスクス。羚次君、格好良かったよ。」
「俺を誰だと思ってんだ?天下の加藤羚次様だぜ?あったりまえじゃねぇかよ。それに、スミレ、素直すぎてらしくないな。」
「な?!せ…せっかく素直に頑張ったのに…もぅ!格好よくなんかないわよ!勘違いしないでよね!私が格好いいって言ったのは…その場の雰囲気なんだから。」
俺は笑顔でよく言うよって言ってやった。
「その言い方ってなモグっ?!」
俺は美奈がいいかけた言葉を押し殺した。空気読みやがれったく。
俺は美奈に囁いておいた。
「あんでいいんだよ。素直だと、スミレっぽくないだろ。んで、美奈は素直が一番だな。」
「……ん~?どゆいみ?」
「あっはっは!こっちの話だよ。あっはっはっはっは…」
「ちょっと羚次君?!まだ話は終わってないからね!」
美奈はまだ納得していないようで、眉間にシワを寄せながら俺とスミレの後ろをとぼとぼ着いてきていた。
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