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「さ、美奈ちゃん!羚次君に飲ませる薬を買いに行くわよ!」
「…薬?」
美奈ちゃんは携帯電話を弾くのを止めて、私に向き直った。
「そぅ、薬。いきなりでごめんなさい。でも、早く行くわよ!」
「え!?羚次はどうすんの!?」
「良いのよ!」
「え~?」
私は美奈ちゃんの手首を掴んで美奈ちゃんの家から抜け出した。
「ぁ、鍵閉めてね。危ないから。」
私は美奈ちゃんにそう言って閉めさせた。
「…やっぱ起きないと危険だよね。…で、放っておいて大丈夫なの?スミレちゃん。」
「大丈夫よ。ゲームに対してはね。」
私達は家の庭から出て、歩き出した。勿論美奈ちゃんにモンスター達は任せっきりだけど。
「羚次君にはまずグループを抜けてもらったわ。」
美奈ちゃんは「は?」って言いたげな顔で振り向いた。
「…勘違いしないでね。帰ったらグループに入れるから。」
「抜けちゃったら無防備で危ないんじゃないの?」
美奈ちゃんは心配そうに私に聞き返す。
「……羚次君にはモンスターに当たらないように設定してきたから多分大丈夫よ。泥棒や強盗さえ入らなければね。」
美奈ちゃんは納得がいったみたいで、前を向いてモンスターを倒しながら進んでいってもらった。
「羚次…起きるよね。」
美奈ちゃん…。
この時私はこのゲームを隅々まで見て、起きる自信はついていた。私なら絶対上手く設定できると自信はあった。
でも、このゲームを信頼できるのかどうか…。信頼してもいいのだろうか…。
と不安が渦巻いていた。
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