2章 2人のキョリ

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胸の鼓動が早くなる、息も荒く・・・ (落ち着け・・・俺・・・) どうするべきか、自問自答する・・・しかし、考えるよりも先に体が行動をしていた。 眠っているハインケルの顔の横に手をつき覗き込むように顔を近づけていた。 (・・・!なにやってんだよ、俺は!こんなの見られたら・・・) 「・・・何をやってるんだ、お前は・・・」 すぐ下から発せられた声に驚く、むしろ驚かないほうがおかしい。 「なっ!?ハインケル・・・起きてたのか!?」 「さっきから野生の勘が危ないと言ってたんでな・・・で、この体勢はなんだダリウス」 そう言われ慌てて下がる、自分でも慌てすぎてると自覚できるほどに。 「あ、いや、えと、これは・・・その・・・」 何も言い出せずに口篭る。思いを伝えるほどの勇気は持ち合わせてない。 「なんだよ・・・はっきり言ったらどうだ」 ハインケルは不機嫌そうに言葉を漏らす。 無理もないよな・・・こんなむさい男に寝てるところ覗き込まれるなんて・・・。 気まずい・・・どれほど時間が経ったのか・・・実際にはそれほど経っていないだろうけど。 先に重い口を開いたのはハインケルだった。
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