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何度も何度も繰り返し言ってみてもいつも同じところで止まる。
夜空の月の光が辺りをうっすらと照らす。
まるで今の俺の心情のように淡く、寂しそうに。
「…そろそろ帰るか、アイツを心配させるわけにはいかないしな」
呟き、重い足取りで来た道を戻って行く。
何か思えれば全て悪い方向に考えそうだった、だから無心で歩いた。
宿に入り部屋へと戻る。
静かに扉を開け中の様子を覗いてみる。
中は部屋を出る前と同じままだった。
明かりはついておらず、不気味なほど静かだった。
「…何やってんだよ、俺。自分達の部屋なのに覗くとか馬鹿か…」
一人小声でツッコミを入れながら部屋へと入っていく。
着ていた上着を脱ぎ寝る準備をする。
「おやすみ、ハインケル…」
恐らく聞こえない程度の大きさで言葉を漏らす。
今の状況じゃこの言葉を言うのも辛かった。
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