3章 踏み出す勇気

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「ハインケル…辛かったよな、今まで全部抱えてたんだな」 そうだ、ハインケルはいつも弱い所を見せないで自分で全部抱えて… 文句、弱音を吐いたことはなかった。 だからいつもハインケルはどこか辛そうな顔をしてたのか… 静かな中、月明かりだけが抱き合っている二人を照らす 照らされている所はほんのり明るく、優しい光に満ちていた。 「…大丈夫か?ハインケル」 「あぁ、でももう暫くこのままで居て良いか…?」 そう言いハインケルは手を俺の体に回し、抱いてくれた。 さっきよりも密着し、互いの息づかいが聞こえるのは回りが静かなせいかもしれない。 時を忘れるほどの間抱き合ってからハインケルが口を開いた。 「…ちょっと寒いな」 泣いていた事もあってか若干赤くなった目を擦りながら言った。 「寒いか?…へへっ、これで大丈夫だろ」 笑いながら自らのコートをハインケルにかけてやる。 驚いたようにハインケルが見ていた。 「あ、ありがと…な」 恥ずかしいそうに声を小さくして礼を言ってきた、コイツ、やっぱ可愛いな。 「じゃぁそろそろ帰るか」 獣化していればまた違ったが、人間の時ではさすがに寒い。 俺ら二人はずっと寄り添いながら人気のない道を戻って行った。 まだまだ夜は始まったばかり
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