4章 愛のカタチ

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部屋に戻ってからも会話はなかった。 今までとは違った気まずさが漂う。 まるで互いに恥ずかしがって遠慮してるような。 だが、沈黙はすぐに破られた。 「ハインケル…」 「?どうし……」 ハインケルはその言葉を最後まで言い切ることが出来ず押し倒された。 あまりにも不意な事でハインケルはバランスを崩しベッドの上に倒れた。 「ハインケル…もう我慢出来ない、ヤろうぜ…」 「ダ、ダリウス…お前…!」 本能のままに、息も荒く。 獣化しかけたがなんとか抑える。まだ獣化するには早い。 ハインケルは驚きに目を見開いていた。 ハインケルの返事を待たずに俺は唇を重ねる。 さっきとは違う、本当のキスだ。 ハインケルも拒むことをせず素直に受け入れてくれた。 ハインケルの立派な口髭の感触でさえ今は俺をただ興奮させるだけだ。 「ぁ…んん…」 口と口の僅かな隙間からハインケルの声が漏れる。 互いに互いの口を、舌を貪る。 舌を重ね合わせ、吸い付き、時折甘く噛む。 それだけで体は興奮し火照っていった。 しばらく貪った後一度口を離す、互いの口の間には透明でとても細い糸をひいていた。 「ハァ…ハァ…ダリウス、まだ準備が…」 顔を赤く染めながらハインケルが息荒く言う。 「ハインケル…美味かったぜ、お前とのキス」 ハインケルの言葉をほとんど無視して言う。 それを聞いたハインケルも 「俺も……美味かった、お前とのキス」 そう言って俺たちはまた唇を重ねた。
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