このてのひらには

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このてのひらには

今 どんなに伸ばしても この両手は空を切る 涙に濡れて 汗を握っているだけの私の手 自分は何も掴めない 自分には何もない そう思うと 悔しくて 情けなくて ぬぐっても ぬぐっても 涙があふれた 立ち止まると 前を歩く人たちの 背中ばかりが見えて 彼らをうらやみ自分を恥じた どうやってここまで来たのだろう- わからずに振り返ると そこには足跡が続いていた 数えられないほどのそれらは 私が積み上げてきた 思い出や失敗や努力の証 自分のてのひらを見下ろして笑う 『夢を手にしたとき  そこには夢だけじゃなく  これまで流した涙や  ぬぐった汗もあるのだろう』 だから 私は笑う 自分はこんなに多くを掴んでる 自分にはこんなにたくさんのものがある 『一体どこに  あきらめる必要があるのだろう?』
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