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「ねぇ、瑠伊。月、綺麗だよ」
「本当だ。満月だね…冴香、寒くない?」
「平気だよ。毛布着てるから」
「無理しないでこっちおいで。」
「あったかい…」
「小さいね。冴香は」
その日の夜―。
いったん眠りに就いて目を覚ました私は彼と満月を眺めていた。
なぜだが、空や月は心の中に隠して自分でも気づかなくなった傷を浮き彫りにするような気がする
その満月を眺めながら泣きそうになった。
「なんか、綺麗なものって泣きたくなるよね。心が洗われるっていうか」
ギュッ
「分かるなぁ。僕も嫌なことがあった時空を見てると癒されるんだ」
「瑠伊にも嫌なことってあるんだね」
「ハハッそりゃあね。僕も人並みの神経はしてるから」
「なんか瑠伊って重く考えたりしないで上手く交わしていきそうな気がするから。少し世の中を軽蔑してるような」
「そんなことはないよ。いろんな所にぶつかってそれでもなんとか進んでるよ」
彼の肩にもたれて彼に肩を抱かれながらそんな会話をした。気のせいかもしれないが何か同じものを持っているように感じた
もっと時間をかけて彼のことを知りたいと思った
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