一 暴言と少女

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それは、異様な光景だった。 私立葵街学園の第二校舎屋上。 生徒は勉学に勤しむ授業中の為、人気は無く閑散としていた。木の芽時にもならぬ二月上旬。吹き抜ける風は未だ冷たく、少女は軽くぶるり、と体を震わせた。 少女自体は何の変哲も無い少女である。普通に学園のセーラー服を着て、普通に立っている。 異様なのは、彼女ではなく彼女と向かい合うもう一人の少女だった。
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