一 暴言と少女

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罵倒を尽くしていると言っても過言ではない言葉に、セーラー服の少女――鏑木 律(かぶらき りつ)は首を傾げた。幸か不幸か、この少女の言語能力はあまり高くないしネットなどを見るような少女でもない。律はゆっくりと手を持ち上げ、頬を掻いた。 「ごめん、あまり言葉の意味が分からなかったのだけど。はじめまして、鏑木律と言います。貴女が譲木高世さん?」 律の言葉に少女は小さく目を見開いたがそれだけで、先程と同じく可愛らしく歪んだ口で毒々しい言葉を吐き出した。 「起立とでも呼んで欲しいのかね?白殲菌が。人の足の角質を漁るような害菌と私が口を聞いてやってるだけでも感謝したまえよ。言葉が分からないなら節用集でも持ち歩くが良い。どうせ君のようなDQN家庭に育ったようなマカロン女は辞典など読めはしないから近世初期のもので我慢するが良いさ。そして聞かれたから答えてやるが君が可内にもならないような社会の害悪でしかないのと同じように私は譲木高世だ」 律は高世の言葉に傷ついた素振りを見せず、むしろ言葉自体理解できていないようでなんとか理解できた末の一文を掬いとって、笑って見せた。 「よろしくね、高世さん。私も今日から『限界者』になります」 高世は、薄く目を細めた。
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