原稿用紙

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先週の土曜日に作りかけたものがそこにしまってある。 比呂は上着のポケットからロッカーの鍵を出してさしこむ。 「そういうの、先輩が自分で考えたんですか?」 「まさか」 「じゃ、誰かに教わったんだ。高野先輩?」 そうじゃなくて――答えようとした時、机に置いた携帯が鳴り、 比呂はわれしらずどきりとした。 「誰からだろう?」 「ちょっと、勝手に見ないでよ」 高野の名前が出たばかりなので、 反射的に彼かもしれないと思ってしまう。 自分でもばかみたいだとわかっているけれど。
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