3人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「間違い電話かな。非通知だったし」
照れかくしに言って、ロッカーの扉を大きく開けた。
とたんに、あれっと思う。
顔の高さの段に、見慣れない封筒があったのだ。
部室のロッカーの下のほうは、ちょっとしたブラックホールだ。
何年前からあるのかさえもはっきりしない、汚れた封筒やら段ボールやらが押し込まれている。
けれども上の数段だけは、去年部長だった柳井のおかげできちんと整理され、ゆとりもあった。
問題の封筒は、ノートばかり並んでいる段の真中にさしこまれ、2センチほど手前にはみだしていた。
下の段にいくつもあるのと同じ、A4サイズの茶色い封筒だが、
真新しくきれいなものだった。
最初のコメントを投稿しよう!