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だから、会誌の原稿は創作が大半をしめることになり、評論や翻訳は、誌面に変化をつけるうえで貴重だった。
そして、田村いずみは、入部以来、その評論や翻訳の原稿を寄せてくれるありがたい存在だった。
「田村さんは創作はやらないの」
たしか去年の今ごろ、秋号の編集長だった高野がそうたずねたことがある。
「これでしっかりした文章を書けるんだし、創作も見てみたい気がするな」
横で聞いてた比呂は、いずみをうらやましく思ったものだった。
わたしも高野さんにほめられてみたい。
文章がしっかりしているでも、姿勢がいいでも、親指の爪の形でも、
どんなささいなことでもいいから。
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