散華

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明治2年5月 五稜郭 「お前達、連日よく頑張ってくれている。今日は労いの酒を用意した。皆一杯だけだが呑んでくれ。酔って軍律を乱したら、斬るからそのつもりでな…」 そう口の端を上げ軽く笑いながら土方が酒を注いで周ると、満身創痍で各々寄りかかるのがやっとという体で先程までぐったりとしていたのが嘘のようにウォーという歓声と笑顔がその周辺から広がっていった。 こいつらには感謝してもしきれない。 胸に刺さる懺悔の痛みと向き合いながら、しばらく皆が談笑してる様を悠然と眺めていた。 もうこの辺りが頃合いだな…。 土方は周りの者に気付かれない様に小姓の市村鉄之助を呼び、共に自室へ引き上げていった。
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