第六章 リトミネンコの危機

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その夜・・・ 自宅に帰ろうとしたリトミネンコは、背後に何者かが追跡して来ていることに気付いた。 恐らくは『正規』ではなく『裏』のほうだろう・・・ 正規に編成されたのであれば、人数をかけて、堂々と強制的に身柄を拘束してくるであろう。 何しろ、リトミネンコは直接上司から『懲戒免職および拘束の可能性』を正式に言い渡されているのだ。もちろん、それはロシアの軍紀に従ったもので、せいぜい機密にかかわる事態が収拾するまでの期間であり、その間の生命や人権は完全に保障されるものではある。 しかし、裏にかかわる組織が、あの筋の組織であれば、そのようなまどろっこしい手段は講じない。 リトミネンコは自身の経験からその手口は知り尽くしているつもりであった。
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