第六章 リトミネンコの危機

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ちょうど次の角を曲がれば、さびれた飲食店街がある。この時間ではすべて閉店しているが、看板がちょうど身を隠すには適している。さらに言えば、狙撃されたときに、ある程度の相手の位置を把握できる位置関係に自分の身をおくことが可能である。 このような事態は当然予想はしていたが、ここで相手を殺していいものかどうか。彼は大きな選択の岐路にあった。 ここで全面的にコトを構えていいのか。それともここでは専守防衛に徹して、気付いてないフリをしつつ身の安全を確保するか。 しかし、彼は知っていた。このような尾行がついている段階で、完全に安全な場所などはない。むしろ自宅などは一番危険な場所になっているだろう。今ごろは、KGBの部員が盗聴器や爆発物を仕掛けてしまっているに違いないのだ。
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