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リトミネンコが違和感を感じつつ、早めにその会話を切り上げようとしたその刹那・・・
電話の向こうで、何かが一瞬緊張した。それは当然、数多くの修羅場を越えてきているリトミネンコにも伝わってくる。
「どうかしたか?」
「いや・・・なんでもない。」
そこで通信が途絶えたが、リトミネンコは確かに聞いていた。通信が途絶する直前、消音器をつけた拳銃の発射音を。あの独特の乾いた音は、絶対に聞き違うことなどない。
なぜならば、この小さいながら最も利用頻度の高い殺人兵器で、数々の要人暗殺をしていたのが、他ならぬわが身であるからだ。それだけに、親友の通信の途絶と『あの嫌な音』は、リトミネンコにほぼ確実な確信をもって事実を認識させた・・・。
「おい、同志ミーシャ!どうした。」
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