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「よく使えるのは運気を災害に例える系だね」
「へ~、さすが馬場先輩。他には?」
「不吉になことを言った後でその対処方を教えると更に聞き入ってくれるよ」
並み居る人数を占いきった余り時間。まだ帰るには勿体無いので、三人で教室に残っていた。
約束通り、頃川に占い講座が開かれている。
あれやこれやと勲特製インチキ占い術が継承されていく。
『頃川はインチキ占いができるようになった』と、これは報告書に載せる意味ないな。
俺は興味がないというか……あれは勲がやるから効果があると思うので不参加だ。
「占いってこんな感じだっけ?」
頃川がイメージとのギャップを抱いたらしい。
「習う相手が勲だからな。理想の占い師になりたいなら本でも読んだほうがいいんじゃないか?」
勲のはどっからみても本来は詐欺に使われる手口だ。
本人が意識してそれをやっているならこれほど恐ろしいことはない。
「ううん。楽しいからこれでいいです」
そりゃなによりだ。
さて、占いの次は何やるかな……。
「――って、何やるも勧誘しないと廃部だった。問題はその方法だけど……」
思いつかないので台詞が途切れる。
その先を拾ったのはできたてホヤホヤの部員だった。
「普段やってることに巻き込むとか」
「普段か。俺ら何してるよ?」
「去年は釣りしてたね。釣り部とどっちが多く魚釣るかを勝負してた」
あったなそんなこと。勝負はブラックバス一匹の差で負けたっけ。
「勲がエサ用意してくれてたら勝てたのにな」
「俊也こそ! 土掘り返してミミズ探すとかやってたから時間足りなかったんじゃないか」
「し、新鮮な方がいいんだよ!」
あれは明け方まで報告書を作成してたから寝不足だったんだ。
そうじゃなければ近くの釣具屋で買ってくるという正しい決断をしたはず。
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