スパイとあきら

入学式とピンチ

学校の施設と言えば体育館。

今日は入学式と言うことでいつもと内装が異なる。

お揃いのパイプ椅子に座り、俺もその他大勢の輪に溶け込んでいた。

後ろには新入生の父兄が礼装で座っている。

ざっと見渡したが、これといって怪しい人物はいなかった。
少なくとも頃川晶の親は普通の人らしい。

まぁ来ていないって可能性もあるけど。

あれやこれやと推測を飛ばしている内に、新入生の名前が呼ばれ始めた。

前方の期待と緊張を合わせ持った新入生達が、返事と共に起立していく。
着慣れていない制服が初々しい。

俺も最初は緊張したなぁと思い返した。
確か『高校に三年間溶け込め』って任務で頭がいっぱいだった。
現在進行形だけど。

やがて一組全員が呼ばれ、着席した。
頃川晶は呼ばれなかったから一組じゃない、と。

こうした情報もいつ必要になるか分からない。少しでも集めておいて損はないだろう。