3/3
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
声がどんな状況の時に聞こえてくるのかもわからない。 突然、その瞬間、頭の中にザーッとノイズがして、その向こうの方で声がする。 自分の気分が良い時はそれ程気にならないが、機嫌が悪い時にその現象が起きると、さらに気分が悪くなる。 こちらの都合に全く関係なく、一方的に頭に入ってくる声に、 (この人、うざい…) と思った事も何度もあった。 それでも、高校生になった頃には、聞こえる声にすっかり慣れてきていた。 頭の中で歓喜の声が聞こえると、 (いい事あったんだ) とか、怒りの雰囲気を感じると、 (今、怒ってるんだな) などと思ったりできる余裕がでるようになった。 不思議と、相手がどんな人なのかとはあまり考えた事はなかった。 その声も、大学に入った頃から、殆ど聞こえてこなくなった。 初めのうちは、何でだろう、と気にしていた事もあったが、段々とそれもなくなり、頭の中の声の存在も薄れてきていた。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!