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声がどんな状況の時に聞こえてくるのかもわからない。
突然、その瞬間、頭の中にザーッとノイズがして、その向こうの方で声がする。
自分の気分が良い時はそれ程気にならないが、機嫌が悪い時にその現象が起きると、さらに気分が悪くなる。
こちらの都合に全く関係なく、一方的に頭に入ってくる声に、
(この人、うざい…)
と思った事も何度もあった。
それでも、高校生になった頃には、聞こえる声にすっかり慣れてきていた。
頭の中で歓喜の声が聞こえると、
(いい事あったんだ)
とか、怒りの雰囲気を感じると、
(今、怒ってるんだな)
などと思ったりできる余裕がでるようになった。
不思議と、相手がどんな人なのかとはあまり考えた事はなかった。
その声も、大学に入った頃から、殆ど聞こえてこなくなった。
初めのうちは、何でだろう、と気にしていた事もあったが、段々とそれもなくなり、頭の中の声の存在も薄れてきていた。
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