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バーベキューの準備が済み、後は男性陣の帰りを待って、火を熾すだけになったが、なかなか釣りから帰って来ない。
「やっぱりね~」
美樹が呆れ顔で言う。
「ちょっと携帯に電話してみようか?」
真咲が携帯を取り出して電話をかける。
「あ~、ダメだ。電波届かない所にいるみたい」
「待ってるしかないか~」
美樹がそう言うと、
「私、ちょっと見てくるよ。そんな遠くに行ってないでしょ」
と真咲が言った。
「1人で大丈夫?」
美樹が心配そうに聞く。
「平気!平気!じゃ、行ってくるね」
川に向かって歩いて行く。近くの釣りができそうな河原に3人の姿は見当たらなかった。
(もうちょっと向こうかな…)
そう思ってしばらく進んで行くと、怪しい林に迷い込んでしまった。
(何だかこっちじゃない気がする…)
急に不安になってきた。携帯を開く。
(やっぱり圏外。どうしよう…)
辺りを見回してみる。ひと気は感じられない。
(もしかして、ちょっとやばい…!?)
どうしていいかわからなくなって、その場から動けなくなった。
途方に暮れていると、
「北原さんっ?!」
突然呼ばれて、びっくりして体が飛び上がる。
声がした方を恐る恐る見ると、潤がこっちに走ってきていた。
「早川君っ?!」
「あ~、やっぱり、北原さんだ。何でこんな所にいるの?」
「あっ、釣りしてる3人を呼びに来たんだけど…」
「俺達、あっちで釣りしてた。もしかして、迷子なりかけてた?」
「…うん。携帯も繋がらないし、どうしようかと思ってた」
「俺が見つけて良かったな」
潤が笑って言う。
「うん。助かったよ~。ありがとう」
ホッとしたように真咲も笑顔になる。
「そろそろ帰ろうかと思ってたから、裕也さん達の所行こうか」
「うん!」
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