僕が僕である為の方法

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この音色は、会場に来ている人達にはどのように聞こえるのだろうか。 下品?おかしい?下手?綺麗?上手?それとも流石? どの言葉にも、ボクはなんとも思わなかった。 ボクの奏でる音は、なんて空っぽなんだろう。 演奏が終わり、頭を垂れると、拍手が沸き起こる。それは、どの奏者に対しても一緒だった。 ――――――一人を除いて 今日のコンサートが終わり、楽屋に入る。楽屋は学校に設備されてるコンサート会場の中に設けられているものだ。その為か、中はなかなか狭いし隣の楽屋との壁も薄い。 そんな所に、冷や汗を掻いて酷く焦っている校長と校長とは正反対に、綺麗で爽やかな笑顔を浮かべる若い男の人がボクが使っている楽屋の鏡の前に立っていた。 「さっきの演奏、大変素晴らしかった。」 「…………ありがとう、ございます。」 クリーム色の長髪を下の方で括り、色素の薄い茶色い大きな目、優しげだけど綺麗に整った顔立ちで身長もまぁ、高い方な美形な男の人。 「お、緒方くんっ!最初の話と違うじゃないか!」 「私の中では決定事項だと言ったはずですよ。」 なんの話をしているのかサッパリだ。
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