9人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
混乱の中、私は彼の隣に座った。
彼は言った。
「どうだった?何かあった?」
私は言った。
「妊娠してるって…。」
彼は言った。
「はぁ?嘘だろ!?生むの?俺は子供なんていらないから。」
私は彼の言葉に呆れ、そして私は言った。
「大丈夫。生みたくても生めないから。八週までに中絶して下さいって言われたの。私の体が危ないからだって。だから中絶する。」
そこに私の心はなかった……。
彼に言われた言葉が、私の心を壊した。
六週になる頃には、もう病院が決まっていた。
彼が中絶する病院を決めていた。
私は、腰の痛みやつわりに悩まされていた。
つわりが酷く食べ物が喉を通らず、食べられない日々が続いていた。
彼と私の関係は崩壊寸前だった。
彼は仕事で毎日遅く帰り、時には帰らない事もあった。
私はいつも一人ぼっちだった。
一人になれば、色々と考えてしまう。
「どうして気付かなかったのだろう?」
「もし、生めたとしても彼の子では生めなかったの?」
「他の人と付き合っていたら?」
私は毎日同じ事を考えていた。
彼とはいつも喧嘩していた。
私は、彼が何かを言ったり、彼が何かをしたりすると、怒りが込み上げてきて、爆発してしまう。
彼は言った。
「八つ当たりするなよ!お前が解らない。何をして欲しいのか、何を言いたいのか、今のお前にどう接したらいいのか……俺には解らない。だから、帰って来るのが嫌なんだ!」
私は自分でも解らなかった。
八つ当たりなのかもしれない。
一人になりたかった。
でも……側に居て欲しかった。
「側に居て欲しい。」
私は言った。
「お前の側にはいたくない。八つ当たりされるから。」
彼は言った。
私は、泣き崩れ……彼は、部屋を出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!