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「お母さん!何があったの!」
勢いよく玄関を開けるとそこには、毛むくじゃらの小さい何かがうずくまって震えていた。
「なに、これ…?」
「あ、さちお帰り。これよ、ハ・プ・ニ・ン・グ。」
「だから、これ何?」
「い・ぬ!ほら言ってたじゃない。犬買ったって。」
「今日来るなんていってなかったよね?」
「本当は明日だったんだけどねー。なんか来ちゃった☆」
「これの為に…呼んだの…?」
「そーよ。犬、見たかったでしょ?」
「そんなの、すぐじゃなくていいじゃない…もう…もう知らない!」
そう言って自分の部屋に走った。
言い過ぎたかな…でも、でも、悔しかった。
もっと悠介と一緒にいたかったし、沢山思い出作りたかった。
あ…ぬいぐるみ…。
悠介の自転車のカゴに入れっぱなしだ…。
初めて悠介がくれたものなのに。
私の為に…笑わせようとしてくれたのに…。
もう…会えないのかなあ…。
悠介…。
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