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教室へ行くと、同じ部活の仲間や、知っている人がたくさんいて、少しホッとした。
「おはよ~!」
と、軽く声をかけ教室を見渡した。
騒がしい、クラスの中で一際輝く彼に釘付けになってしまった。
見つめすぎている私の視線に気付かない訳もなく、彼と目があってしまう。
それでも、彼を見つめてしまう自分を止められなかった。
彼は、一瞬不思議そうな顔を見せたが、すぐに友達と話し出した。
これが、一目惚れというものだろうか。
騒がしいはずの教室で、私は、音が耳に入らない感覚を初めて味わったのだ。
彼は、誰?名前は?
私は、はやく知りたかった。
名札を見るが、目の悪い私には、よく見えない。あまり見ていると怪しさ倍増だ。
だからって、『あなたの名前はなんですか?』なんて聞く勇気はなく…。気持ちだけが焦る。
『誰か彼の名前を教えて~』と、大声で叫びそうになっていた。
そんな私を見て花ちゃんが声をかけてきた。
「姫ちゃんどうしたの?席は、決まってないから適当に座ろうか?」
「あっ、うん…あのさ…」
「私ちょっと、トイレ行ってくるね」
私の声を遮って、花ちゃんがバタバタとトイレに立った。
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