第二章 ~ 異世界からの来訪者 ~

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ちなみに那水は腰を抜かしたまま動けなかった。 途智はそんな彼女の『ひとりにしないで』と言う無言の訴えに従うことにしたのだ。 ― 扉を開けると、そこは真っ白な世界が広がっていた。 ― 先ほど夢(妖力)で見た光景と同じだったのだ。 或斗と模果は注意深く霧の中へと足を踏み入れていく。 「森…だよね。」 「森だな。」 お互い確認しあうような会話が交わされる。 霧の中にうっすらと広がる景色は紛れもなく森の木々たちだ。 「キャンプ場だよね。」 確認するように問いかける摸果、その腕は必死に或斗の腕を捕らえて離そうとしない。 しかし問いかけに返事は無いのだ。 ただ険しい表情の幼馴染が無言でたたずんでいるだけだ。 「ねえ、或斗。どうしたの?」 その視線の先を覗き込みながら、再び問いかける模果。 「ここはキャンプ場じゃないな。」 搾り出すように言葉を吐き捨てる或斗。 視界を覆い尽くすほどの濃い霧漂う森の中、しかしその先には木々ばかり。 キャンプ場にあるはずのバンガローは映し出されていないのだ。
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