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「う…そ、じゃぁここが『まほろば』?」
模果は半信半疑の言葉を無意識のうちにつぶやいた。
「さすがは勇者様。
呑みこみが早いですぞ。」
ふいに後ろから声がする。
もちろんその声はキャットのものだ。
「ここはイースタンの村の近くですぞ。」
自慢げに答えるキャットの後ろに、途智の肩を借りて歩いてくる那水の姿が見て取れる。
「じゃ本当にここがまほろば…。」
「今時間帯は、夜明け前ですな。まだみな寝ておりますぞ。」
濃い霧が漂う森の様子を眺めて、キャットが説明をする。
「先ずはその長老とやらに会わせてもらおうか。
一体なんでこんなことになったのか納得行く説明をしてもらうぜ。」
「もちろんでございますとも、俺様も勇者様を長老様のところにお連れするのが使命ですそ。
では、村に行きますですぞ。」
そう言うと、皆を先導するように歩き出すキャット。
「村まではどのくらいなんですか?」
霧深い森の中を歩くのだ、不安が募り沈黙に耐えられなくなった那水が弱々しい声を響かせた。
「そうですな、もうしばらく行くと泉があるのですぞ。
その泉からおよそ二十分歩いたところですぞ。」
「それにしても霧が深いな、いつもこんななのか?」
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