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「さて、あんたがただの猫でない事は理解できたわ。
それで何しに来たのかしら?」
いつになく怖い表情の模果が、腕を組んで言い放つ。
その視線の先には、正座をさせられている或斗とキャットの痛々しい顔が並んでいた。
「実は俺様、『まほろば』の危機を救う勇者を探しにやってきたんですぞ。」
腕(前足)を広げて、必死に訴える黒猫キャット。
「『まほろば』?
そう言えばさっきもそんなこと言っていましたね。
『まほろば』って一体何なんですか?」
そんなキャットの言葉に、疑問を投げかける途智。
「フム、『まほろば』を知らないですと?
我々の住んでいる世界ですよ?」
これは不思議とばかりに、聞き返すキャット。
「知らないわよ。そもそもしゃべる猫がいること事態驚きよ。」
少々興味を惹いたのか、模果が表情を崩しながらキャットの顔に視線を移す。
「そうですか、では説明せねばなりませんですぞ。」
「当たり前だ。それを聞いているんだ俺達は!」
隣でキャットと一緒に模果の鉄拳を喰らい、挙句並んで正座をする羽目になった或斗が戦友キャットに突っ込みを入れる。
「そんなに怒らないで下さいですぞ、マイブラザー。
同じ『美乳』論で語り合った仲じゃないですぞ。」
両手を広げてなだめるように答えるキャットの言葉に
「な、お前と一緒にするな!」
「恥ずかしがる事はないですぞ、マイブラザー。『美乳』とは男のロマン。なぜならば…。」
ゴンッ
再び模果の鉄槌がキャットの頭を直撃する。
「何するですかハニー。あなたはこれからの成長株ですぞ。
日々の鍛錬でまだまだ『美乳』になる可能性を秘めている。
そのためにも毎日俺様のマッサージを…。」
ゴン、ゴンッ
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