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「良いから『まほろば』の話を進めなさい!」
圧倒的殺意を抑えながら、再び模果の鉄槌がキャットの頭部を直撃したのだった。
「さっき『まほろば』って、君が住んでいる世界と言っていましたね。
どんな世界なんですか?」
横道にそれてばかりいるキャットの話に、痺れを切らした途智が先を促した。
「そう、俺様たちが住んでいる世界なのですぞ。
とても美しく穏やかな世界なのですぞ。」
「どこにあるんですか?」
おずおずと興味深そうにたずねる那水。
「『時間と空間の狭間』にあるらしいですぞ。」
「なんだよその『らしい』ってのは。」
すかさず或斗が突っ込んできた。
「フム、長老様がそう言っていたのですぞ。
俺様には何のことかわからないですぞ。」
困ったように…いや、他人事のように両手を広げて語るキャット。
「それでその勇者ってのはどこにいるんだ?」
キャットの態度にあきれた表情を浮かべる或斗。
「何を今さら言っておられるのですか?
マイブラザー。」
「……。」
「……。」
熱いまなざしで見詰め合うキャットと或斗。
「どういう意味だ?」
「あなた方が勇者様でございますぞ。」
シレっと言ってのけるキャット。
「……。」
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