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それは何気ない一言だった。
「ねえ、私のいいところって何?」
学校の帰り道、幼なじみであるハルが急に質問をしてきた。
「何だよいきなり」
「いやぁ、カイが私をどういう風に見ているのかなって思ってさ」
ハルは歩道脇の路肩に乗っかると、両手を広げてバランスを取りながら歩く。手を広げた時に頭を叩かれたが、そこは気にしない。
「どうって……ハルは幼なじみだよ。それがどうしたんだ?」
小さい頃から隣近所で一緒に遊んでいた腐れ縁とも呼べる幼なじみ。高校になった今も、その感覚は変わらない。
「ふぅん、そっかぁ」
呟くように言いながら足早に路肩を進んで行くハル。俺は追いかけることなく自分のペースを保ちながら歩く。
「昔からと同じ見方な訳だ」
「まあ、そうなるかな」
「全く……カイは本当に成長しているのかな」
「どういう意味だよ」
「別に~」
「別にって……まあいいけどさ」
何が言いたいんだと内心不思議に思いながらも、特別聞くことはしなかった。
それよりもだ。
「そういうハルは、俺をどう思ってるんだよ」
全く同じ質問を返してみた。
「私?」
「そう。聞いてくるぐらいなんだから、俺に対する気持ちを聞かせてくれてもいいだろ?」
「そういうことね」
ハルは路肩から軽くジャンプして歩道に飛び降りるとこちらを振り向き、後ろ歩きを始める。
「聞きたい?」
「じらすなよ。早く言ってくれ」
「そう、わかった」
ハルは歩くペースを極端に落とすと目をつむった。ぶつからないようにと、こちらも自然とペースを落とした。
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